7 情報を俯瞰する装置 アウトライン・プロセッサーを使う
この章には何が書かれているのか?
著者が行った講演で、ソウトラインで作った原稿ではないものを発表した、というエピソード
p.109の「前置きが長くなった」までの部分は実際に前置きなので理解できなくても大丈夫そう
一応ポイントだけ拾っておくと
グラムシの文化ヘゲモニーという考え方を用いると、後期資本主義社会のメカニズムがうまく説明できる。
しかもその考え方はブルジョワジーの打倒を信じなくてもよく、肯定することもできる
よって、マルクス主義(ないしは共産主義)を捨てるからといって、グラムシの文化ヘゲモニーの考え方まで一緒に捨てなくても言い
という「議論の構図」は、本章の主旨とは別に拾っておくとよさそう
以下、前章の終わりと関わる部分
「ソウトライン」に簡単に納まる、ブルジョワジー的でソクラテス的つまり古典的な明解なディスコースから離れ、かつマルクス主義的なディスコースからも自由に、現代の社会と文化を分析するにはどうしたらいいだろうか。 p.109
ソウトラインに納まる論理は、古典的で明解なディスコースである
同様にそれらは、ブルジョワジー的であり、ソクラテス的である
この「ソクラテス」的が多義に感じられるrashita.icon
おそらく、P.107の「ギリシャ哲学以来の西欧文明の正統性を体現し」という部分が差されているように思える。
実際その後に「良識あるブルジョワジーの見識」という文が続いているので、「ブルジョワジー的でソクラテス的」という表現に重なる(出てくる順番は逆であるが)。
一方で「ソクラテス・メソッド」を差す可能性もあるが、たぶん違うだろう。
もうちょっと考えよう。
「ソウトラインに簡単に納まる」とあるのだし、前章ではソウトラインを使うことはソクラテス・メソッドに近しいことを行うことだという雰囲気もあった。つまり、ソウトラインで作られたものは、事前にある論理への当てはめという静的なものではなく、動的なものであるにせよ、出てきた論理は「ギリシャ哲学以来の西欧文明の正統性を体現し」という形に納まる、という構図なのかもしれない。
この辺は、残りの部分も読みながら検討してみる
アウトライン・プロセッサー
ワープロが自動車を運転して道を走っている感覚なら、アウトライン・プロセッサーは飛行機での俯瞰
ただし、アウトライン・プロセッサーは誤解されている
先にアウトラインをつくるタイプの書き方のように思われる
シンクタンクは、物書きに好評だった
物書きは、アウトラインをつくって文章を書いたりしない(著者のような科学者が論文を書く、というのとは対比して語っているのだろうrashita.icon)
モアは、アイデア・プロセッサーであるとも自己定義していた
思いつきのアイデアを加工して(プロセスして)ライティングへと仕上げていくという複雑なメカニズムを助けるツール
アイデアは様々な証拠とすっきりとして斬新なディスコースを求めて変装をくり返しながら結論へと展開していく
ただし、アイデア・プロセッサーという呼称も誤解を呼びかねない
アイデアは必要だが、アイデアを思いつくために使っても効果的ではない
単調な記述になってしまう危険性がある
単に並べているだけではだめで、構造に工夫を求めることが必要
項目をアウトライン上に並べ、なんとなく関係があるような気持ちで記述していくのではアイデアは加工されていない のである。どれだけ面白く美しい形で項目の構造が工夫できるかが、アイデア加工の妙味である。
日本のカード情報整理プログラムは、アウトラインを使って文章を書くソフトと考えているためか使い勝手が悪かった
グランド・ビューを使う
リヴィング・ヴィデオテキスト社
アウトライン・プロセッサーではなく、複雑な電子仕掛けの情報を俯瞰する装置
ワープロであるワード・パーフェクトで書いた文章を取り込んだ
ワード・パーフェクトで書かれた文章をグランド・ビューに取り込み、その文章からアウトラインを構成した
書かれた文章からアウトラインを作る
アメリカの大学院でも毎週本の要約をする課題があった
何百ページの本に見出しをつけ、見出し全体が展開する議論と結論をタイプ用紙3枚ほどにまとめる
タイプ用紙3枚はどのくらいのボリュームか?
字詰め、行詰めによって幅があるが、1ページあたり400ワードから1180ワードまでの幅
英語の1ワードは、日本語で2文字数に換算されることが多いので、暫定的に計算すると、800文字から、2360文字くらいが1枚の文字数で、その3倍あたり。
それをすることで、議論のよしあしが見えてくる→批評的な視点
リ・ライティングのためのディスコースを検討するため
読み返してアウトラインが作れる文章は、分かりやすく面白いディスコースを使っていることが多い
グランドビューに見出しをつけたテキストを取り込む
スペースの数かタブの数で見出し扱い
操作を間違えることがあるので、見出し番号を振って対応した(rashita.icon涙ぐましいハックです)
それでも間違えることがある。
全体的に非能率的だと著者
「意味のないタブキーを何度か押す」作業
「PCアウトライン」のようなアウトライン・プロセッサからなら綺麗に取りこめる
rashita.iconこのとき、OPMLのような規格はあったのか
グランド・ビューに無事取りこめると二つのものができる
アウトラインはアウトラインとして処理される
rashita.iconこれは本文を含まないものだと理解
文章は別に文章としてアウトラインの中に押し込められたアウトライン付きの文章
rashita.icon意味がとりにくい文章だが、ようはスタイル付きのWordファイルのようなもので、それとは別にアウトラインもあるよ、ということか。あるいはアウトラインモードのように表示を切り替えられるということか。
ディスコースの検討
すでに文章は書かれているので、アウトラインを操作して文章の構造を決定する作業とは質が異なる
つまり、文章を書く前、あるいは書いている途中の段階でアウトラインを操作することとは異なるという指摘
どう異なるのか
ディスコースはゆっくり流れる河のようなもので、点と点を結ぶだけのアウトラインからでは議論が実際にどう流れるかが検討がつかない
一方ですでに文章が書かれている場合は(つまり、ディコースがそこにある場合は)、高いところからディスコースの流れを見下ろしていることになる
rashita.iconTak.さんの著作では両方の操作を「アウトラインの操作」と捉え、前者をトップダウンとして、後者をボトムアップとして扱っていると想定できる。
アウトラインは、紙の上に文章の持つパラディグム的な特徴を工夫して表現したもの それを使うことで、議論の大枠、中枠、細かな部分を立体的に掴むことができる
rashita.icon立体的に掴む、というのはどんな理解を差しているか
rashita.iconあと文章ではなく、文章の議論となっている点にも注目
読むことも同じ(むしろよりいっそうそう)
シンタグムを支えるのは語り口
どのように話が始まり、展開し、終わるのかの流れ
目次はこの語り口を検討するのに役立つ
アウトラインは三次元的であり、それを二次元に写像したものが目次であると rashita.iconこの言及についてはもう少し検討したい
とりあえず、階層構造の検討と話の流れの検討の二種が必要という話rashita.icon
論文の論理と証拠→アウトラインの階層構造に反映パラディグム的側面 アウトライナーはそれをその検討を支える機能を持つが、そのためには前もって文章のアウトラインを作り、細かく検討し、全体の構造を俯瞰して、修正の方向を決定する必要がある
きちんと階層化されたアウトラインを作ると、本文を検討しなくても構造上の問題について予測することができる
その予想を立ててから、リ・ライティングのプロセスに入っていく
ただしその予測は簡易のものでしかない。
平凡な段落構成(大中小見出しでうまくアウトラインが構成されているか)で、論理的なディスコースがうまく機能しているのかを確認する
そうした診断を逆手にとって、資料を集めてそうした形式に当てはめる作業を論文生産の技術と考える人もいるが、そううまくはいかない。
論文には主張あるいはテーマが必要だが、テーマは資料を漁るうちに出てくるのであって、資料をアウトラインに強引に収めてもテーマは出てこない
資料(データ)をつなぎあわせているのは、アウトラインよりも複雑な論理の連鎖である
rashita.iconという主張は理解できるとして、その「複雑な論理の連鎖」とは何であり、どのように作るのか
これは「テーマ(主張)」のパラフレーズなのか、そうではないのか(引き続き注視しておく)
しかしながら、うまくできた文章は、振り返ってみるとアウトラインとして単純な形式を備えていることが多い
だからアウトラインの形式から判断できる
rashita.iconこの話が面白いですね。
同じものが先には使えないが、後からなら役立つ。
以降は、実際の検討が行われる
Aの1と2を統合した方がいいかも
Bの10項目は多過ぎるという判断
rashita.iconこれなどは完全に形だけ(意味/内容)を見ていない判断
でもたしかに意味がある判断ではある
他の人に共有したい情報や疑問などがあれば以下に書いてくださいrashita.icon
TsutomuZ.icon 写像 は、mapping のことだと知ると、理解がほんの少し進みました。 くまきち.icon 筆者がやってる作業と同じようにできるアプリって今ではどんなのがあるでしょうか? noteを表示するかを選択できるDynalistができそうですが、他にもありますかねえ?
rashita.icon僕は使ったことがないですが、Wordのアウトラインモードと本文モードの切り替えは近いイメージがあります。